東映太秦映画村の「現代」


音楽に全く詳しくないのだけど、MOSAIC.WAVの「からす天狗うじゅ」を聴くと、夕方に再放送されたアニメのエンディングを思い出してしまう。ドピンク髪の少女が、ディスコ的コスモスペースで奇怪なダンスをしている。その後ろで男性が高音域の声を出し、ピコピコ音が鳴っている。しかし、フィルムが劣化しているためか、妙にノイズが入っていて、そのSF風映像からは未来を想像することはできない。学校から帰ってきて、退屈だから仕方なく、そういうアニメを観ていた。そのどうしようもない失われた過去が、「からす天狗うじゅ」からは、する。

で、「からす天狗うじゅ」がいる東映太秦映画村に104さんに連れて行ってもらった。


以下感想等を列挙する。

・門を潜るとそこは城下町。のはずがなぜか変な女神像がある。

・白いポニーがいる。金を払うと餌をあたえることができる。
・射的場がある。鬼の顔にボールを投げることが出来る。景品にはディズニーキャラのぬいぐるみが置いてある。
・射的場には野良猫が住み着いている。売店のおこぼれをもらっているのだろうか。
・記念メダルの自販機がある。
・修学旅行の定番土産物が売ってある
新撰組のアレ。絵がオタ生々しい。

新撰組詰所のセットもある。オタ女子が群れていた。その隣には何故かプールがある。んで何故か水中からは恐竜が出てくる。

新撰組と恐竜が同居している・・・。すごくオタの脳内です。東浩紀っぽくいうなら「データベース」。いや剥き出しのデータベースが目の前に存在している。

・映画界の偉人たちの展示館は、公民館的な香りがする。70、80年代的公共機関的建物。
・戦隊系ヒーローの展示はかなり面白い。アクションシーンで傷ついたであろうグローブやバイクもそのまま展示してある。接写もできる。

・と、思えば、バイクの空気が抜けていたり、ヒーローの足元には100円で動くスーパーの屋上的遊具が現役で稼動している。あと床が妙に汚い。ミュージアムというよりかは、スーパーの催し物場に極めて近い。

・巨大仮面ライダーフィギュアもある。大体等身大の3倍ぐらいか。ってなんで人間の大きさのヒーローをわざわざ巨大ヒーローにして展示するのだろう?あと仮面ライダーアギトの巨大胸像。そんなもんトイレの横においておくぐらいなら、等身大フィギュアを作れよ。



・パイプ椅子と、白いプラスチックのテーブルのある食堂。学食よりかは、昔の国道沿い大衆食堂に近い。ちなみに「男たちの大和」で使われた模型も食堂には展示されていて、飯を食いながら大和を拝める。


・ここまで書いておいてなんだが、アトラクションの人々のクオリティはすごい。客弄りが絶妙で、真剣そのものだ。「くのいち物」の舞台もやっていて、アクション・演出・脚本・構成全てが、到達され完成された出来になっている。B級好き以外の人もこれで「元を取れる」。あと、「くのいち」さんのフトモモがよかった(カミングアウト)




東映太秦映画村にテーマは無い。テーマではなく、そこは剥き出しのデータベースがあるだけである。古くなったセットをペンキで補修した江戸時代の建物。それは江戸のものだろうか?セットが作られた当時のものだろうか?それとも現代のものだろうか?

いや、テーマは無くはない。東映太秦映画村の売りはノスタルジーだ。70、80年代のレジャーランドがここには冷凍保存されている。駅前スーパーの屋上の遊技場ともいうべき過去の美しい風景がある。東映太秦映画村は、過去のテーマパークをテーマとしているのかも知れない。だとすれば、ここは超一級のテーマパークではないか。第二・第三世代オタの、ロストジェネレーションとよばれる人々の、具体的に失われた情景が、ここにはある。

この情景と、「からす天狗うじゅ」は、かみ合わないものではない。この情景は、MOSAIC.WAVに根拠を与えているものに、極めて近い。

とか思っていたらうじゅもうじゅグッズも全然見当たらなかった件。



小さな声でオススメしたい。B級好き、70・80年代ノスタルジアの人は一度訪れておくべきだろう。