びわこタワー、ひこにゃん、香巴拉の門、オフ会3

オフ会では、「はてな」のことより、マンガ界隈と絵師界隈の話を濃厚にした。


歴史は終わってしまった。マンガ史が、「メインカルチャーに如何に接近するか」という歴史であるならば、それらはほぼ達成されたといってもいいだろう。これは喜ばしいことであるのと同時に、その目的から逆算する形で付与されてきた「価値」が喪失してしまった事態でもある。

評論家はそれでもなお、マンガに「価値」を見出すことができる。マンガの快楽を読み出すこと。マンガに「社会」を読むこと。しかし大抵の読者は、そこまでは至れない。彼らはこういうだろう。「よくできた作品」「ウェルメイド」と。

「よくできた作品」「ウェルメイド」が溢れかえった世界を、一つの物語に紡げるだろうか。そして、ノスタルジー以上の過去、歴史として位置づけることができるだろうか。


いや、ここまで大げさな話じゃないけど、快楽天やホットミルクや「ハイエンド」系と言われていた作家群は一体どうしているんだろう、と。彼らはマンガ史のロスジェネではないだろうか、と。

基本的に捻くれたオタクであり、洗練されてかっこよく、エッジを効いたことを散発し、同人界で「我らの時代の絵師」ともてはやされ、雑誌の表紙を飾り、テクニックを披露し、まとまった作品を残さず、上の世代からは未だ「誰それ」な作家群。

下の世代には無自覚なフォローワーを生み出し(ラノベのイラストとか)、彼らに食われてる作家。「うん。そんなに面白いなら単行本貸してよ。代表作ってなに?」と聞かれると大変にこまってしまったり。


「同人なの?短編なの?それでもいいから貸してよ?」
「いや、そんなに面白くないし。完結も完成もされていなくて、でも、この絵すごいでしょ。オチもノリもいいし。」
「いや、それって作品じゃないじゃん。それに今からみると古いよやっぱ。」
「えー。」
鳴子ハナハル貸してやるからよんでみ。」
「えー。」
というような作家。


なんか雰囲気があるのはわかるけど、いつになったら彼は投げっぱなしの短編を描くのを止めるの?
いつになったら長いのを描くの?
いつになったら非成年誌で、「天才現る」と言われるの?
というような作家。


同人を書き、商業誌の兄弟誌に短編を描き、エロ本に顔を出し、それらをチャンポンにして数年に一回単行本をだして、マニアのブログから賞賛されるような作家。ラノベのイラストを描き、アニメの雑用をし、エロゲに関わり、換金できないブログで面白い記事を書き、自分のHPの掲示板に浸り、マルチクリエイターというよりは、派遣労働者に近いような作家。しかも天才。もしくは、天才肌。


んで、もう一回いうけど
「上からは未だに誰それ?な作家」
「上からは未だ新人扱いの作家」
「下からは無自覚にフォローされて、いまいちリスペクトされていない作家」
天才達は、如何にして、マンガ史に名を刻めるのだろう?

そしてその作家を血眼で追いかけた読者たちはいまどこに。まさかハルヒとか、いとうのいぢとか、石恵に行ってるわきゃないわな。

それ以前に、オタ界隈の移り変わりは激しい。活躍どころか、生存することが第一目的な世界だと思う。ロリコンブームからどれだけの人間が生き延びられたか。んな世界は喜ばしいものか、と。

サブカル系は、四季賞→アフタ・IKKI→メジャー青年誌みたいなルートがあるけど、オタクが出世するのはどれぐらいのルートがあるのか。特にひねくれた天才オタ作家は如何にサバイブできるのだろう?下には屈託の無いガキどもが待ち構えているのに。無論、その読者達も、だけど。