シュリンクとか。

http://d.hatena.ne.jp/chakichaki/20071219#p1
http://d.hatena.ne.jp/banana-cat/20071210/1197295427
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ほいほい。シュリンクの話ね。「シュリンクのせいで立ち読みが出来なくなった。新規顧客が減るぜ」と90年代初頭に小林よしのりとか大塚英志も指摘していたような気がする。一消費者とすれば、マンガの立ち読みが出来たほうが嬉しいに決まっている。ただ、色々な事情が錯綜しているのでなんとも言えん。

ただ「シュリンクのせいで本が立ち読みできない。うわあああん」ってのはナイーヴだわな。立ち読みに類似した行為は今時そこら中でできる。マンガ喫茶ブックオフ、違法合法のP2Pなど。1巻だけブックオフで買って、後は新刊ペースで買うとか。そういう人はワリにいるんじゃないか。本に対する評判だって、インターネットで探せばいくらでも確認できる。しかも本の在庫が無くなった頃に発表される雑誌の書評とかではなくて、アップトゥデートで。

つまり、本屋で立ち読みする価値は今日相対的に下がっている。ならば、わざわざシュリンクを止める必要はない。上記の方法で調べて、シュリンクされたキレイな本を買えばいい。キレイな本ってのはブックオフと差別化する上では一つの戦略になるだろう。

現場の事情からすると、立ち読みさせると本が汚れるって事よりも棚が荒れるって方が大きいと思う。カバーがずれたり、巻数がバラバラになったり、本が違う場所に行ってしまって整理するのに無茶苦茶時間がかかる。ブックオフとかで『ふたりエッチ』とかが全然違う場所にあったりするでしょ。あれはガキが移動させて読んでるからで。無論後で店員が鬼のような形相で直すわけだ。売り場が荒れると、客に本の場所を聞かれる回数が増えて大変。ただでさえ人手不足なのに。在庫はあるのに、店頭にはないってのが多発する。無論客も本が探しにくくなる。

それと、ぶっちゃければ、立ち読み客は邪魔なのだ。商品を出したり、掃除するときにその場所に突っ立ってられると面倒で仕方がない。店員が横に立っただけで、どいてくれる人間はほとんどいない。立ち読んでいるのは、まだましな方。床に座って読む奴とかがいると本当に邪魔。それで注意すると絡まれる。ブックオフで延々と「座り読みするな」って言ってるでしょ。あれは、そういう奴がいるからで。

「棚が荒れて整理するのが大変+立ち読み客が邪魔で棚の整備が大変」なわけで、コレだったらシュリンクして立ち読み客を減らし、キレイな本を提供するほうがマシなわけだ。

ただし世の中は資本主義。「マンガを立ち読みさせたほうが儲かる」ってのが実証されれば、覆る可能性はある。ただし実証されれば、だが。実証されない限り、この環境が覆ることはないだろう。

それと、「中身の確認したけりゃ、店員に言え。」って。9割がた見せてくれるはず。なぜなら「間違って買ったから返品しろ」という客がウザくて仕方がないから、店員はそれを未然に防ぐために見せてくれる。ただ忙しいときに言うと「殺すぞ」みたいな目で見られるときもあるけど、別に殺されはしない。

立ち読みができないと新しいマンガとの出会いがない、ってのは確かだろう。んで表紙の中身の違いすぎたりするやつとか、再録だらけでのやつとかも立ち読みができないと確認しづらい。しかし、ほとんどのメジャーマンガにこれらは当てはまらない、ってのは暴言だろうか。雑誌で読んでいるから、流行っているから、友人の口コミで、ってな人は新しいものをワザワザ自分で立ち読んで確認したり、発掘しなくてもいいわけだ。そしてメジャーなものはやはり売上げが大きいわけだ。


・まとめ1
立ち読みの価値は相対的に下がっているので、シュリンクを止める必要はない。


・まとめ2
キレイな本は、マンガ喫茶ブックオフとの対抗上必要。


・まとめ3
「立ち読みによって生まれるコスト(作業効率の低下+棚が荒れる)+本が汚れるデメリット」より「シュリンクのコスト+本がキレイなメリット(立ち読みできる環境が増えている中でのブックオフなどと差別化)」を本屋は選んでいるわけだ


・まとめ4
マンガを立ち読みさせた方が儲かるかも知れんが、悲しいかな実証がない。本来的に人間は保守的である。強い思い込みが無い限り変わろうとしない。無論、通念に従った作業方法を変えるには、責任・リスク・コストを請け負わなければならない。シュリンク職人のバイトを説得して、売り場を走りまわらせなければならない。「他の店はシュリンクしているのに、なんでウチの店はしないんだ。お陰で作業が大変だ」と思っている従業員を励まし説得しつづけなければならない。


こんな感じかな。
最後に
http://d.hatena.ne.jp/chakichaki/20071219#p1
これの続きを予想してみる。

シュリンクが流行った理由は人員不足と郊外型大規模店化による。シュネリンクはレジを打つ合間にもできる。ただしレジを打ちながら、立ち読みで荒れた売り場を直すのは、店内を移動しなければならないので面倒。レジから遠い棚を整理しているときに限ってレジ前には長蛇の列が出来たりする。しかも大規模店だと、棚の商品管理が大変。そこに立ち読みで荒廃した売り場の整理が加わると地獄。しかも、人員削減。んで売り場の整理は閉店後になる場合が多く、ここに手間取ると人件費が増加。それかサービス残業で士気の低下。ならば、その労力を減らすにはシュリンクをせざるをえない。


・ぶっちゃけ本屋は立ち読み客が嫌い。理由はウザイから。しかしこの物言いは怠慢である。よって『シュリンクをしないと本が売れない』という通念を生み出し、この物言いを肯定したかった。

さてどっちだろう。