カラオケに『インターナショナル』が入っていない

下の日記で「萌え」について書くのを忘れた。むずかしい問題だね「萌え」は。吐き捨てるように一言だけ言わせていただくと、「萌え」という言葉を発する各個人は同じ感情を脳内で抱いている、というような考えは十分に疑ってかかる余地があるように思う。おそらく「萌え」は表現なのであって、感情ではない。そして「萌え」てみせることによって、人は同一のものを見ようとしている。

「萌え」を考えるなら、「萌えないもの」「萌えと言わないケース」について考えるといいかも知れない。残念ながら私にはそんな力量はない。

また「萌え」と発することによって、「萌えないもの」「萌えと言わないケース」がドロドロとした沼の中から這い出てくる。オタクは「萌え」と同時に「萌えないもの」「萌えと言わないケース」の前にたたされる。かくして私たちの脳内では本田透倉田真由美と『電車男』がハルマゲドンを起こす。世の中はこんなに平和だというのに!

もし脳内で戦争が起こっているなら「オタクブーム」は肯定されるべきだ。戦争は動物が起こすのではない。人間が起こすのだ。

とデタラメなことを言ってみる。私自身の「萌え」について語らせていただくと、私の「萌え」感情は、エロ本業界やエロ屋への憧れを多分に含んでいる。例えば以下のような

上崎(注:『G-type』編集長上崎洋一)ありがとうございます。グラビアページは作家さんとの一対一のネタ出しなんで、メーカーとかに気兼ねすることなく、誰に言われるわけでもない自分の権限でできる企画なんで楽しいですね。あとはポリとかプロ市民とかが消えて無くなればさらによいですが、って、いきなりこんな話ふって何かあるんですか?

むらかみ(注:むらかみてるあき):いやね、私もぜひG'sisterでロリが描きたいな、と。

上崎:そういうことですか、ぜひ描いてください。でもロリでキツいやつになりますよ。

むらかみ:意表をついて「萌え」とか。経済効果331億円とか言われているみたいです。
上崎:なんですかその経済誌に踊らされてるシーラカンス頭のオヤジみたいな発言は・・・それにそのネタだと、うちの場合に限って言えば捨てカット扱いされかねませんよ。

(『G-type』2006年2月号、「むらかみてるあき先生にいろいろきいてみた」より抜粋)

「萌え」の製作現場にいるとされる人間が「萌え」からはみ出していることを後世のために記憶しておこう。ポリとかプロ市民とかが消えて無くなればさらによいですという感覚。これこそが私の「萌え」の核心だ!『G'sister』が色々と憂き目に会ったみたいですが編集長、がんばってくださーい。萌えー。