日常の感想

パチンコ屋の駐車場で車内に引きこもりながら、橋川文三『日本浪曼派批判序説』と山本七平日本人とユダヤ人』を読んだ。感想は横において置く。それにしても秋の青灰の空を映すパチンコ屋と、その駐車場ほど美しいものはないだろう。空と駐車場が溶けこんで、そこに排気ガスで汚れたパチンコ屋の建物がそびえたっている。これで雨が降り出したりすると最高だ。

自分は「廃墟」が好きなのだろう、と思う。ただ、自分の好きな「廃墟」というものは、昔栄華の象徴となった建物の遺体ではないし、計算しつくされた人工物が夏草に埋もれている姿の、それではない。今目の前にある、未完成で、一度も賞賛されることなく、10年先には取り壊されているであろう、インチキで生まれたときから腐り続けている「廃墟」だ。ここで一句。


ペドフィルに
生まれて河豚の
旨さかな


ごめん本文と全然関係ない。しかもパクリだし。