メイドよりかはハウスキーパー
マンガを買ったのでそれについて書く。短く。
- 作者: 大岩ケンヂ,滝本竜彦
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2004/11/26
- メディア: コミック
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われわれは、ひそかに高く仰いでいたものの影を、あまりに身近に発見したとき、一種の錯覚におそわれる。それはひとつにはこれは贋物ではないかという疑惑であり、もうひとつにはこれこそがあれだという驚嘆であって、どちらにせよ仰いでいた対象と自分との距離がめちゃめちゃになることに変わりはない。(江藤淳『小林秀雄』)
冬目景や安倍吉俊らが目指したアニメ的な骨格を用いながらも決して量産的でなく幾つもの線を組み合わせた粗雑な描画で成り立つ「今ふうの絵」、というか「今ふう」は大岩ケンヂによって一つの完成を見た気する。それは、「区切り」でもいいし、コンビ二で売られるまでに「パッケージ化」された、といってもいいのだが。
本作はてめえのリビドーに忠実である。宗教女、メンヘル女、母親。2次元を排したところでどうってことはない。てめえの前に出現する、あまりにもてめえに即した女性観を、「僕らのモノだ」と褒めたり、あざ笑ったり、馬鹿といったり、反省したりすることはできるが、今は彼らの完成度と洗練と何よりも優秀さを讃え、見習いたい。残り物を拾って喰いたい。もちろん、西原理恵子ふうの歯軋りをしながら。