GET9!(9条を奪え!)


『劇場版パトレイバーⅡ』において、特車二課にテロリストの追跡を依頼した陸幕調査局の人物は以下のように語っている。

自衛官として警察官として俺たちが守ろうとしているものは一体何なのだろうな。前の戦争から半世紀、俺もあんたも生まれてこの方戦争なんてものは経験せずに生きてきた。平和。俺たちが守るべき平和。だがこの国のこの街の平和とは一体なんだ。かつての総力戦とその敗北。米軍の占領政策。ついこのあいだまでつづいていた核抑止による冷戦とその代理戦争。そして今でも世界の大半で繰り返されている内戦、民族衝突武力紛争。そういった無数の戦争によって構成され支えられてきた血まみれの経済的繁栄。それが俺たちの平和の中身だ。戦争への恐怖に基づくなりふりかまわぬ平和。正当な対価をよその国戦争で支払い、そのことから目をそらし続ける不正義の平和。

平和という言葉が嘘つきたちの正義となってから、俺たちは俺たちの平和が信じることができずにいるんだ。


祭政一致土人的と呼ぶなら、憲法を道徳的に読む私達はまったくの土人だ。脱亜入欧と叫んだ先人の遺産を私達は食いつぶしている。

憲法9条は不思議ちゃん的思考である。クラスの中でイケてない娘さんが一発逆転を狙うという方法論である。

・闘争から降りるという考えは「あの時闘っていれば勝てた」という考えに陥ってしまう。彼は敗北したときに、「そもそも闘っていなかったから」というだろう。これは、世界から自身を絶対的に守ろうとする考えであり、ニヒリズムをたぶんに含んだ暗く深いナルシズムである。闘わないがゆえに、常に自己は世界最高の存在であり続けるのである。やがて彼は自分以外の何者をも愛せなくなる。

・日常的平和愛好と世界平和の直結は、まさにセカイ系である。政府の法律である憲法セカイ系なのであれば、私達の税金はどこに消えていくのだろう?

・そして、セカイ系であるがゆえに私は憲法9条を無視できない。「9条」はセカイ系嫌韓エロマンガ係累である。あのアナーキーで、面白く、やがて悲しいものたちの仲間である。ゆえに「嫌韓」的面白さは、「9条」的面白さに打ち勝った。しかし、流行が廃れれば「9条」は「嫌韓」に打ち勝つであろう。その面白さによって。