不完全燃焼なんだろwwwそうなんだろwwそうなんだろウェッwww


9/4にバブルの遺産=インテックス大阪で興行する「こみっく☆トレジャー」に参加します。5号館D-04bおねがい☆ツインピークスで。売るのものは自意識と決断主義少女うのたんです。買いそびれている方と自意識を持て余して街を彷徨っている方、お待ちしております。あと自由と愛と股布の狩人#104さんの『ブルマの時代』も売ります。瞼の昭和な本です。

あと皆様、コミケお疲れ様です。放射能が降っている中、同人誌を買い漁るなんて、まるでニューウェーブ時代の吾妻ひでお漫画のようではないですか。

あとリトル・ピープルの時代を読んでいます。地雷か?と思ったけど、渾身の評論本だと思います。これをラノベ化して次の文フリで売りたいものですな。

私選[現代]アート作家

http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=20497204
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=14086423
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=17469837
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=13330583
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=16878219
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=15636291

お前の垂らした精子の数だけ強くなれるよ

僕の妹は漢字が読める』はGHQの指導により漢字教育が廃止された日本が舞台。そこではサブカル文学が隆盛を極め、その後300年経った世界が作品世界。という脳内設定を作った。で、江藤淳やら福田恒存レジスタンス活動をして云々。

アシルと亀の妹

http://blog.livedoor.jp/goldennews/archives/51641055.html
以上を踏まえた上で、この作品に大塚英志柄谷行人東浩紀小林秀雄江藤淳笠井潔がいた場合どのようなキャラクターになるか。またどのような発言をするかを20000字以内にまとめてさっさとハロワに行きなさい(20点)

ああ、なんというかラノベ批評やっていた人が「面白い」と思う前に「なんで俺はこんな作品が書けなかったのか。つーか俺の青春は浪費に終わったのか」と職場で半泣きになりそうな作品ですね。買おう。

シュタインの門


(絵:#104)

強い日差しは部屋に深い影を作った。
暗い室内に天井から降ってくる埃が、モニタの光に照らされている。
カーテンが半分開いた窓辺には、椎名まゆりが100円ショップで買ってきた観葉植物が並べてある。
部屋の住人二人は、買って来た次の日には、植物があったことを忘れていて、5・6個ある愛玩物たちは、全て枯れるか腐るかしていた。

葉のくさった匂いに、バナナの皮の匂い、唐揚げの香辛料と油の匂い。
カビの匂い。
まゆりがメイド喫茶に行く時につける香水の匂い。
便所の汚物入れからやってくる血の匂い。
そして精液の匂い。
それが、この部屋の匂いだった。


岡部倫太郎は18歳だった。
大学生ならば、入学式が終わり、大学生活に馴染もうと必死になる時期だ。
高校卒業者ならば、職場で右往左往している頃だ。
岡部倫太郎は中卒だった。
当人は高校中退と言い張っていたが。
小学校の頃彼は「神童」と呼ばれていた。
勉強は授業を聞かなくても、テストになれば満点を取った。
中学校の頃にその呼び名は怪しくなってきたが、高校は県内一の進学校に入った。
一年の一学期末のテストで彼は、最下位から20番内の成績を残してしまう。
神童ともてはやされた彼のアイデンティティはここに崩壊した。


岡部倫太郎は
「こんな学校生活では脳が腐る」
「一人で勉強していた方が遥かに効率がいい」
「親元で暮らすやつは甘え」
「俺は田舎で終わる人間ではない」
「よって俺は高校を辞めて、東京で一人暮らしをして、東大に入る」
と未だに息子を神童だと思っている両親を騙して、上京した。

東大は無理だが、早稲田ぐらいなら入れるだろう、と彼は思っていた。
しかし彼にはもっと別の夢があった。
音楽関係者になることである。
雑誌と深夜ラジオの影響で彼は、高円寺に住むことにした。
業界人の界隈をしばらく彼は徘徊した。
いうまでもなく相手にされなかった。

音楽の造詣がない。
酒が飲めない。
服装がださい。
それ以上に彼にはコミュニケーション能力がなかった。

勉強も途中で放り投げた。
予備校の学費を全てCDにつぎ込んだ。
ケータイも学費で買った。
オタ系トランスなイベントで出会った橋田至という男から、P2Pで音楽を落とす方法を教わった。
PCを買うとネットにはまった。
一日中、ネットのまとめサイトをめぐり、性欲が溜まればP2Pでダウンロードした動画で抜いた。

18歳の春。
大学どころか、大検を受けてさえいないことが両親にバレた。
薄々は感じてはいたようだが、ついに親が切れた。
「酒屋をやめてコンビニを始めるから、家にもどってこい」と言われた。

岡部倫太郎は親からの警告を無視した。
仕送りが止まってしまったから、職を探した。
工場、弁当屋、郵便局。
全ての面接に彼は落ちた。
この世の全ての人間を殺してやろう、と思った。
同時にそんな度胸がないことを彼はよく知っていた。

彼は貯金が尽きるまで、東京でニセの東大生を演じてやろうと考えた。
殺人が出来ない人間の、復讐のような代償のような行動だった。

東大の理工学部に潜り込んだ。
なんとなくかっこいい、という理由で量子力学の授業に出た。
教授が生徒たちの興味を引くために
「タイムマシーンの可能性」
多世界解釈論」
をおおざっぱに語っていた。
教授の言葉を岡部倫太郎は飲み込んだ。

岡部倫太郎にとって量子なんてどうでもよかった。
彼は都合の良いところだけを掻い摘んで、彼は彼の物語をつむぎだした。
物語を飲み込んだ彼は、タイムマシーンを使ったかのように、かつての神童に戻った。
日本最高峰の学舎で一番難しい勉強をしている自分は一番偉いのだと思った。
その日のうちに彼は白衣を買った。
自分は「博士」だからである。
生協の店員が組合員証を出してくださいといったが、「世界線を、越えろ!」とポーズを決めるたら、無言でレジを売ってくれた。
それ以降彼は白衣を毎日着込むことになる。






「トゥットゥル〜♪おかりん、ただいまー」
変な帽子を被った女が家に帰ってきた。
女はこの部屋の女王だった。
女王がビニール袋を開けると、中にはタッパーとバナナと紙袋が入っている。
「おかりん、今日ももらってきたよー」
タッパーの中には、ケチャップライスが入っている。目一杯詰め込まれたせいか、米粒が潰れてフタにへばりついている。
「おかりん♪新しく入った娘がドジでね、だから炊きすぎちゃったの。店長に怒られるのはまゆしぃなのにね。高校生でちょっとカードゲームができるからって、調子にのりすぎなのー」
男は、言い訳程度の同情の顔をつくって、タッパーを電子レンジに入れた。
ケータイで120と打ち込んでメールを送ると、ターンテーブルが回り始めた。
男が知的な自分を誇示すために女王へプレゼントした「発明品」だった。

メイド喫茶で800円もするオムライスの中身が、回る。
男は、その回転を眺めていた。
120からどんどん数字は小さくなる。
減っていく数字と、一定の速度での回転。
俺の生きてきた螺旋のような年月も、この数字のように、0へと遡っていければいいのに。
男は、今こうでしかありえない自分と、今こうでしかありえない世界を恨んだ。
世界線
多元世界。
タイムマシン。

「まゆり。唐揚げもよこせ。ケチャップライスだけでは食事にならん」
途端、容器にまで油が染み込んだ唐揚げが、男の顔にぶつかってきた。
「おかりん♪今日はハロワ行った?いい仕事見つかった?」
帽子をかぶったままの女が言う。
この部屋は女王のものだ。
でも男はナイトではない。
彼女の愛玩物だった。



彼の貯金は2ヶ月もしたらなくなった。
仕送り生活で身についた浪費癖は抜けきらない。
コーラではなく、わざわざドクペを選ぶといったような、自意識を演出するための出費。
そして通信費。
「くそ組織め」
彼は止められたケータイに向かって叫んだ。
叫ぶと気持ちだけは少し楽になった。
けど、なんの解決にもならない。
そんなことは彼自身が一番知っていることだった。

故郷への切符を買う金だけを持って街へ出た。
帰る前に秋葉原に寄りたくなった。
或る派遣工員が、殺戮劇を繰り広げた街。
もし、ヤツが別の分岐を進んでいたら。
彼は感傷を弄んだ。

もし彼にもう一度人生があったなら。
もし世界が分岐していたら。
こうでしかない世界を食い破るための方法があったら。

慰霊碑をケータイで撮影した後、土産話にでも、と彼はメイド喫茶に入った。
「田舎にはメイド喫茶なんてないしな」
東京でする最後の食事だ、と思って中に入ると、彼女がいた。
まゆりだった。



「まゆり。判るだろ。日本は不況だ。俺のようなヤツに仕事なんてない。それが世界の選択だ。俺はそれまで龍が淵で眠るように黙っているつもりだ。時が来たら、動き出す。そう諸葛亮孔明のように」
「ふざけんんんんなやぉおおおおお」
窓際の観葉植物を鉢ごと彼女は投げつけた。
男はかがみこむように素焼きの鉢を避けた。
鉢は電子レンジにぶつかった。
青い雷が舞って、地面が揺れた。
「何か」が確実に起こったと思ったが、彼女の怒りはそれを打ち消すのに十分だった。

「じ、じゃあ。こうしよう。俺が革命を起こす。東京都知事を追い出す。これで表現規制もなくなる。東京は日本から独立する。都民全員にはベーシックインカム電子マネーで支払う。松屋の牛丼も、お前の好きな唐揚げも安くする。これで、どうだ。」
女は床に座り込んだ。
沈黙の後、まゆりは嗚咽した。
声はどんどん大きくなる。
「だれも好き好んで唐揚げなんて食ってないわよ。誰のせいだと思っているの」
「まゆり。人のせいにするのは良くない。大体、女は全てを他人のせいにしすぎだ。」
「出て行ってよ」
「え?」
「出て行って!ここは私のマンションよ!」
俯いたまま、女がバナナを握って潰した。
拳に涙が落ちている。
男は何も言わずに扉を開けた。



まゆみは最初、彼のことを「ドクター」と呼んだ。
彼がドクペを持って白衣を着ていたからだ。
ドクターは止めてくれ。と言うと、「だって、賢そうだしぃ」と女は返した。
「サイエンティスト?それ、まゆしぃすごくかっこいいと思うよ」
女がそう言うと、男はもうマッドサイエンティスト気取りだった。
後は、自分が東大に通っていること、東大で量子力学を学んでいること。量子力学にはシュレディンガーの猫というものがあること。を話した。
「電子レンジの中に猫を入れたらタイムトラベルするんだ。だから飼い主は大変に困ってしまう。だからアメリカの電子レンジには『猫を入れないで下さい』って書いてあるんだ」
と冗談を言うと
「ほんと?まゆしぃアメリカに行ってみたいー」
と彼女は冗談を真に受けた上に、楽しそうに微笑んだ。

俺を追い込んだ「組織」というものがあること。タイムマシンのこと。世界線のこと。自分の脳内の物語を彼女は全て受け入れてくれた。
他人に「物語」が受け入れられたということは、それはもう「物語」ではない、と彼には思えた。
だから世界線は在るし、タイムマシンも在る。
人生は一回のものではなくて、やり直しはありえるのだと。

水商売の女は調子がいいものだ、とも少しは思った。
ビッチ乙!と脳の隅が呟いている。
けども、まゆりは彼を部屋に招いた。
ここを「タイムマシンの研究所にしてもいいよー」とあの笑顔で言われた。

彼は故郷に帰らずに、女の家に上がりこんだ。
水商売をしている女のヒモ呼ばわりされたくないから、とにかく「何か」に必死になった。
タイターというネットで知ったタイムトラベラーの本をブックオフ仕入れて、気に入った部分に付箋を貼った。
ネットでタイムマシンという言葉にひっかかるページを片っ端から読んだ。
アメリカの電子レンジを買って、ケータイで動くようにした。

仕事で疲れて帰ってくる彼女には、特に慰労の言葉をかけなかった。
ただ、自分が、マッドサイエンティストとして振舞うだけで、彼女は満足そうだった。
おそらく女は自分のことを勘違いしているのだろう、と思った。
けど、自分に才能があることを誇示するのは心地よく、それを止めてしまうことは彼女への裏切りになると思った。

彼女は自分に別の人生を見ている。
こうありたかった自分を投影している。
誰にだって才能なんかは、無い。
無いから、天才そうな人間に、弱いヤツラは群がるのだ。
男は、彼女の別の分岐だった。
少なくとも、別の分岐に連れて行ってくれそうな、一つのきっかけだった。
世界線
あるわけもない分岐。
こうでもありえた人生。

「しかし、誤解は解けた。」
白衣を着て、男は真夏の街を歩いた。
おそらく今度やってきたなんとかニャンという新人がすごい「玉」なんだろう。
そいつに客を奪われたんだ。

若くてカワイイ女に比べて、私は何人ものチンポ咥えた女だしな。とか。
上客をひっかけている何とかニャン。でも私のは単なるニートキ○ガイだしな、とか。

天を見上げるとラジオ会館がある。
何か巨大なものが降ってこないかな、と男は思った。
すべて壊してくれるきかっけがやってきてほしい、と彼は雨乞いをする古代の呪術者のような眼で邪悪な空を睨んだ。


帰るべき場所は彼にはなかった。
故郷へも帰れないし、派遣で働いてマン喫で寝泊りする根性もない。
知り合いの神社に転がる手もあるが、息子を襲うか、襲われるかの関係になるのはごめんだった。
だから、ブラウン管専門店の二階にある彼女の部屋に戻るしかなかった。

タイムマシンは無い。
だから、今を這うように生きるしかない。

ドリームキャストの本体とアルパカがどーのというマニヤ好みのゲームを土産に買った。
自分の小遣いで買ったものだが、元はといえば彼女の金である。
許してくれるだろうか。

玄関の戸にはアインシュタインのポスターが貼ってある。
マッドサイエンティストを気取りの部屋には、原子爆弾を作ったあの男のふざけた写真こそがふさわしい。
けども、アインシュタインの顔の部分が誰かに破られていて、「アインシュタイン」と書かれた文字も「アイン」部分がなくなっていた。
シュタインと書かれた門。
シュタインズゲート


彼は取り返しのつかない一回性の扉を開けた。
孤独な観測者には、扉を開けるまで、彼女は怒っているか許してくれているかは判らない。